回想法について

回想法について

「思いで遊び」・「思いで語り」をしましょう

出雲市民病院グループでは、回想法を高齢者ケアのひとつとして取り入れています。これは昔懐かしい写真や品物、歌、食べ物を見る、歌う、味わう中で昔の思い出を語り合う心のケアーです。麻酔科部長の鈴木正典医師は共著で「写真で見せる回想法」を出版しこの方法の普及に努めています。

メディカルエッセイ「回想法のすすめ」

団塊の世代の私もいよいよ人生回顧の時代に入ったのか 回想法(想いで療法)に興味を持つようになった。麻酔の仕事も手術場・重症管理から遠ざかり緩和ケアーの方向に向かっている。若いころはやたらと針を刺したり、管を入れたりそんなことを得意がっていたような気もするが歳のなせる業か。

出雲市民病院 鈴木正典


ホスピス研修で

1995年に半年ほど南オーストラリアのアデレードにあるドウホスピスに研修に行ったことも大きな動機となった。そこでは、制限のない痛み治療、具体的には最後はモルヒネがmgでなくg単位になることも当然として、「痛み、苦痛を与えることは罪」との理念で行われていたことに驚いたが、もう一つ回想法、ライフレビユーを牧師のみならす、医師、看護婦、MSWなどすべてのスタッフが患者の人生に最大の関心と共感を寄せていたことに感心した。歩んだ道に最大の敬意を払い、それを常に興味関心を持って伺う、そこから生まれるケアの個別性、それぞれの人生への敬愛をとても大事にしていた。そのホスピスではそれぞれの患者様が小さなパンフレットのようなご自身の人生についての小冊子を持っておられた。


回想法のはじめ

その後いろいろ本を取り寄せて勉強を始めそれを手引きに何人かの癌患者さんに対して回想法を手探りで始めた、教科書には「高齢者の過去への回想は後悔とか、現実からの逃避などと否定的にとられがちだった、しかし高齢者の回想は死が近づいてくることにより自然に起こる心理的課程であり、過去の未解決の課題を再度とらえ直すことも導く積極的な方法である」とあった。緩和ケアの仕事柄がん患者さんが多かったので回想を介して悲嘆や心の痛みを緩和できないものかを考えた。それで実践してみるとさらに効果が実感できた。


個人の回想法

キュブラーロスの「受容の五段階」というのがある、とてもその順番で心が変化する訳ではなく常に行きつ戻りつ、逡巡の後に螺旋階段を登るように終わりを迎えるのだが、その際に“この世に一つしかない自分の人生に満足しながら大往生を迎え幕となる”が理想だが煩悩具足の我々にはそうは行かない“悲嘆の末に”ということにならないように第三者がご本人が話したいこと、話しやすいことから断片的にでも人生の一こまのお話を伺う、特段の評価とか賞賛は控えめに、場合によってはしない方が良いかもしれない、結局ご本人が自慢なさる、ご自身で“我ながらよくやったものです”“今考えると大したものです”とおっしゃったらそれを大いに肯定し、受け止めひたすら心の底からの興味関心を持ちながらお話を伺う、聴くことに専念する。


千夜一夜物語のように

「これまでの私の人生、過去の栄光を知って欲しい」「私はただの年寄りではないのだ」とか「本当に私のこれまでの人生を理解してから尊敬、尊重して欲しい」という 内なる叫びがある。回想法はこれまでの人生の振り返りを共同作業として進めて人間回復を図る、その進め方は千夜一夜物語の様でもあり、自分史編纂、回想録、自慢話とでも、、、、発想に共通点はある。要点は私たちは 回想のお手伝いに当たりいかに私たち自身がその方の人生に興味関心を持って持続的にお話を伺うかにありそうだ。 


グループでおこなう回想法

あくまでも個々人の生き方、人生に焦点をあてる個人への回想に対して集団でおこなう場合がこれ、デイケアーとか高齢者の会などで開催している。

グループの特徴は個人を語るのではなく時代を語る、時代を共有した、経験した人々が思い出を共有するところにある。共通時代の出来事、生活、関わりについて誘導する写真、品物、歌などをたよりに語り合う、全員が平等に発言できるように司会進行する。介護保険が始まってからこの方法は 各地のデイケアや介護保険適応外の元気なお年寄りをさらに元気にする方法として依頼される回数が多くなった。


「三つの歌」の会

最近では 写真だけでなく 歌を思い出のよすがとして昔NHKの人気番組だった「三つの歌」をヒントに前奏を繰り返し奏で歌を思い出し 時代を語る取り組も行っているが至って評判が良い。各地の公民館や、高齢者の集会などで ピアニストと共に企画している。 昭和20年代の流行歌は子供から大人まで国民全員が一つの歌を歌った時代だった。 私も幼稚園の時に「粋なくろべえー みこしのまあつにー」などと分けも分からず歌ってたものである。 私にとっては父親が歌謡曲好きで家に昔のレコードが沢山あったのでそれを子守唄代わりに聴いていたのが今役に立っている。この取り組み3年ほど前にNHK松江放送局でラジオで取り上げられ列島リレーニュースで全国に放送された。 面白いことに埼玉と新潟の知人から放送を聞いたとの便りを頂いた。


回想法の効果

個人、内面への効果として人生の連続性と統合化、自己の再評価、個性の再認識、確信を生み出す、訪れる死のサインに伴う不安を和らげる、自尊心を高めるなどがある社会的には対人関係の進展を促す、発語回数の増加、表情などの非言語的表現が豊かになる。一方介護にあたる職員への効果も大きい、高齢者の人生への関心と敬意を生み出す、ケアプランの充実 などが考えられる。正直なところ、今の介護関連施設などの“幼稚園まがい”の出し物は私たちの老後には勘弁して欲しい。浦島太郎の紙芝居を年寄りが子供に話をする時に介護職が手伝って下さるのは有難い、また園児が年寄りのためにお話をしてくれるのならそれも嬉しいが、職員が年寄りに幼児向けの紙芝居をするとは何事だ!しかしこんな出し物の作り方が堂々と老人ケアーの本に掲載されているのが現実だ。各々の経験や人生が尊重される老後でありたい、団塊の世代の宿命として自らのケアを提案しなければと考えている。

そのような経過から回想法の理論と実践のテキストに実際に使える写真を30枚セットしました。回想法の本を出版しましたので是非ご覧いただきたい。




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